24話 父親はハゲ
いたって幸せな生活を送っていた山本は、
禿げのこともあまり気にしなくなってきていました。
もちろん毎日ちゃんと無駄は努力はしていましたが(笑)
しかしそんな私が凹む事件が起きます。
それは保育園での出来事でした。
長男もすくすくと育ち、保育園で父親も呼ばれるいわゆる参観日がありました。
私も初めて保育園に行く事に。
普段見ない子供の顔を見るのを楽しみにしていました。
お父さんも様々で、25歳くらいの若いお兄ちゃんもいれば、40を過ぎた私より年上の方もいます。
しかし、禿げは一人もいませんでした。
しかもちょうど間の悪いことに、身だしなみに気を使わなくなって来ていた私は、
髪の毛が微妙に伸びた状態(=もっとも禿げが目立つ状態)でその参観日を迎えてしまったのです。
「あー禿げてるお父さんはいないもんだなぁ」など、
若いキレイな奥様の隣で若干恥ずかしい思いをしていた私ですが、
事件は家に帰ってから起きました。
家に帰ってしばらくすると、息子が泣いているのです。
最初息子が泣いている理由を夫婦共々理解できませんでした。
「どこか痛いところがあるのか」
「誰かにいじめられたのか」
聞いても息子は教えてくれません。
皆さん御察しの通り、息子が泣いている理由は
「父親が禿げというのが嫌」という理由でした。
私はそのことを嫁から聞くことになるのですが
なによりショックだったのは、
”その事を息子が私に言えなかったこと”でした。
息子はまだ小さい。
お腹が空けばお腹が空いたと言いますし、
スーパーに行けばお菓子を買ってくれとゴネます。
小さい故に、遠慮という言葉を知らないものだと思っていました。
いつもみたいに
「うちのパパだけ髪が無くてヤダ!」と私に言ってくれればいいのです。
そうすれば私も苦笑いしながら謝れたでしょう。
でも実際はあんな遠慮を知らない息子が、それを私に言えずに部屋の隅で泣いている。
何故言えないのか?
私に悪いから?
パパに申し訳ない??
いつもそんなこと気にしない息子が、
子供ながらに「これはパパに言っちゃいけないこと」と思っていたのでしょうか。
そうとしか考えられませんでした。
優しい子に育ってくれて良かった。でもそんなに息子を傷つけることだとは、
全く気づいていなかったのです。
これまでずっと禿げをネタにして生きてきました。
嫁も私のそんな明るいところを好きになってくれたのです。
でも小さい子供には違いました。
私は初めて、禿げで人を傷つけていました。
それも、最愛の優しい息子をです。
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